書評「インタフェースデザインの心理学 第2版」

熊野 なおゆき
創業者・取締役副社長熊野 なおゆき
図:『インタフェースデザインの心理学 第2版』オライリー・ジャパン

こんにちは、GMOリザーブプラスの創業者・副社長の熊野です。私は現役のエンジニアでもあります。
今回は、オライリー・ジャパンの「インターフェースデザインの心理学」という書籍を紹介します。

タイムパフォーマンスを意識した予約体験の設計

引用 #036 時間は相対的である
20年前、ウェブブラウザが登場したころは、ページの読み込みに10秒かかっても皆それほど気にしていませんでした。しかし最近では、2秒も待てません。筆者が定期的に見るサイトのひとつはロードに12秒もかかり、まるで永遠のように感じます

昨今「タイムパフォーマンス」(Time Performance)、いわゆる「タイパ」と呼ばれる概念が、Z世代などの若い世代を中心に広まりつつあります。
費やす時間に対してどれほど効率よく満足感を得ることができるかが重要視される現代において、「予約すること自体に時間をかけるのはもったいない!」という声が弊社でも聞かれるようになっています。

「メディカル革命」では、ユーザーがスムーズに予約をとれることを重視し、時間の無駄を感じさせない操作感を提供するために、さまざまな工夫を取り入れています。
SaaSプロダクトの開発において、この書籍『インタフェースデザインの心理学 第2版』は参考になりました。

患者さんの快適な予約のためのデザイン

引用 #028 心的な処理には難しいものとやさしいものがある
ヒューマンファクターの観点から、心的資源の消耗が多い順に並べると次のようになります ― 認知>視覚>運動

ユーザー画面の設計では、患者さんが意思決定に要する時間を短縮させることで、無駄なエネルギーの消費を抑え、ストレスのない体験を提供することを心がけています。
特に予約という「未来の時間」を決定するプロセスでは、モチベーションを高め、ドーパミンを放出させる瞬間が重要です。
この瞬間を最大限に活かすために、気を散らす要素を最小限に抑え、必要な情報を効率よく入力できる画面を設計しています。

医療現場の心理に応えるデザイン

管理者側の画面に関しては、余白が十分あり見やすい画面は、初めて使う方からは「使いやすい」と評判が良いですが、長期間使用するうちに「もっと自分に合った使い方をしたい」という声が出てきてしまいます。
ユーザーが初めはシンプルさを評価し、その後はさらなる効率を求めるようになる心理的変化に対応するために、ノーコードで設定変更を行えて継続的な改良を実現できることが理想になってきます。これは、人間の行動原理を意識したデザインの必要性を感じる部分でもあります。

医療現場では、非常に多くの情報を扱います。その中で、特定のスタッフにとって重要な情報を強調したり、表示スピードの即時性を確保したりすることが求められます。
これらは、脳に過度な負担をかけないデザインを考慮する上で重要なポイントです。
心的資源の消耗を抑えながら迅速に情報を表示できるように設計することで、業務効率の向上を図っています。

フィッツの法則によるUI/UXの最適化

フィッツの法則の数式
T = a + b log2(D / W + 1)
T: ターゲットに到達するまでの時間
D: ターゲットまでの距離
W: ターゲットの幅
a: 装置の移動の開始・停止にかかる時間
b: 装置の速度

UI/UXの設計において重要な「フィッツの法則」も、この書籍を通して理解を深めました。
フィッツの法則は、ユーザーがターゲット(例えばボタンやリンク)に到達するまでの時間を予測するためのモデルです。
画面上のインタラクティブ要素の配置がどれだけ操作しやすいかを、数式で導き出せるのです。
大きなボタンや画面の中央に配置されたリンクは、ユーザーが効率的に操作できるようにデザインされたものなのです。

予約システムでは、患者さんが無駄なスクロールやカーソルの移動をせずに必要なボタンへアクセスできるよう、ボタンの配置やサイズに工夫を凝らしています。
これにより、操作時間を短縮し、ユーザーの負荷を軽減することが可能になります。

未来のためのメディカル革命

私たちが目指しているのは、心理学とデザインの知見を融合させた、より使いやすいシステムの提供です。
医療現場では、重要、あるいは素早い判断が要求されたり、時にはネガティブな決定を必要とする場面が発生します。
人間の認知負荷を減らしながら、効率的なインターフェースを提供することは、特にそのような分野において大切です。
今後も、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、より良い未来のためにシステムを進化させていきます。

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創業者 / 取締役副社長熊野 なおゆき

創業者 / 取締役副社長。受付・予約システムの力で「医療の現場を豊かに」を理念にチーム一丸となって成長しています。「受付・予約から決済までのシームレスなシステム」を構築し、医療の現場へ貢献していく所存です。

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