熊野氏が提案したのは、『アカウント管理のサブドメイン化』を中心とした幾つかの抜本改革だった。
シンプルかつ合理的な解決策ではあったし、僕も考えてみたこともあった。
しかし『ビジネス影響やリスクが怖く、決断できずにいた』方法でもあった。
けれど熊野氏はこれを主導し、半ば強引にやりきったのだ。
実際この改革はホームラン級の効果を上げ、目下の負荷問題は解決されることになった。
この経験から僕は、
『改革のためには、優先度を一度破壊し、枠の外に出ねばならない』
ということを学んだのだった。
人間はつい、今の延長での最適化をしたくなってしまう。
しかしながら、サーバインフラなどの『着実に追い詰められてゆくチキンレース的課題』においては特に、早期抜本変化する気概で挑まないといけないのだろう。
それ以降、熊野氏とは10年以上の付き合いとなった。
結果的に『医療向け予約システム』専門の会社にスピンアウトすることになり、今でも付き合いが続いているが、いまだに僕は『こんなピーキーなヤツそうそういない』と思っている。
いろいろあって、2017年。
ついに岐路となるイベントがあった。
『医療向けの予約システムを作る会社』の設立&プロダクト本格始動となったのだ!
僕もその会社とプロダクトのスタートアップに注力していた。
その会社名は……
『株式会社医療予約技術研究所』
この会社名を聞いて「電話のときに舌を噛んだらどうすんだよ」と思ったのは事実だ。
いや、日常のタイピングのとき、指がつるんじゃないかって思った。
それでも僕は漢字のインパクトがある、パワフルな名前になじんでいった。
そして2018年、ついにGMOインターネットグループへのジョインが決まったとき、ひそかに僕は思ったのだ。
(やった。これで社名を短くできる……!)
後日熊野氏から新社名を聞いたとき、僕は真顔になったのを憶えている。
『GMO医療予約技術研究所株式会社』
(おいおい、社名が長くなっとるわ!)
その気持ちは、本稿を書くまで胸の奥に隠して生きてきた。
そんな中で2025年2月にわが社名が『GMOリザーブプラス株式会社』になった。
今回社名が変わったことで、やっとネタにできるようになったのだ。
とまあ、これが熊野氏との出会いであり、リザーブプラス社の成り立ちというわけだ。
ここから引き続き、SaaSビジネスやエンジニアリングや、熊野氏の生態について書いていこうと思う。
前回の記事はこちら:
#002 アカウント3,000件! その男、熊野【SaaSを22本構築したエンジニアの話】
本稿は個人の見解であり、会社を代表するものではありません。